プロフィール欄で公開している「嵯峨根遼吉と日本における原子力発電の導入」という論文中に訂正すべきヵ所がありましたのでこちらに記します。
原子力予算が国会で承認され、そのお金で海外視察した調査団の報告について、
論文79頁に
「調査団が訪米していた段階では、濃縮ウランを用いる構想は全くなかった。」
と記しましたが、当時の毎日新聞の記事(1955年5月6日 夕刊 1頁)には
「濃縮ウラン受入望む」
という旨の記述がありました。
報告では、「天然ウラン・重水型の多目的原子炉の建設を第一次主要目標とする」とし、まずは濃縮ウランを使わない原子炉を目指しました。
一方で、「第一号原子炉に必要な技術者の訓練や材料検査などに役立ち」そうなので、「適当な条件のもとで行われる」ならば、濃縮ウランの受け入れも望ましいと発表しました。
「しかしこの小型炉[濃縮ウラン型]の建設は第一号炉の補助的意味のもので、これだけで満足してはならず、第一号炉に力をそそぎ、これを動力用への応用の基礎にすべきだ。」
とまで注意をしていましたが、「濃縮ウラン受入望む」という見出しになってしまうところは、今も昔も変わらないマスコミの切り取り方だな、と思います。
このように、濃縮ウランは第一路線としては考えられていませんでしたが、論文中の「濃縮ウランを用いる構想は全くなかった。」という記述は、「第一号炉に関しては」正しいのですが、不適切だと思いますので、ここに訂正いたします。
Comments