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科学史学会で発表【長時間枠】を行いました

2023年5月28日(日)、日本科学史学会の第70回年会(早稲田大学西早稲田キャンパス)にて、「原子力工学者の誕生」という題で研究発表を行いました。

博士論文を準備中の学生の枠で、発表30分、質疑10分と、通常の発表時間の2倍の時間をいただいて、博論の構想とその中から「東京大学工学部原子力工学科の設立」に関する内容を発表しました。

質疑では、

・文部省が主導した裏には企業からの要求があったのではないか?

・矢内原の「大学の自治」「学問の自由」から原子力研究施設の忌避は直結しないのではないか?

・廣重によると、原子核物理学者の就職先がなかったから原子力工学に移ったという側面があるらしいが、どうか?

・東大の原子力工学科はその後「システム量子」に名前を変え、原子力という名前は使えなくなる。「衰退期」を扱うべきではないか?

といった質問をいただきました。

どれもごもっともで、今後の研究に反映していきたいと思います。

質疑が終わった後も、個別に、

・「原子力工学者」はどこまで含むのか?大学?電力会社?メーカー?定義をした方がよい。

・「学位」という言葉は博士を連想するから使い方に気を付けた方がよい。

・「原子力工学」はさまざまな分野からの寄せ集め以上のものとして、成立、構成されたといえるのか?

・<原子力工学者>という括りは、誕生・成立したと言えるのか? 誕生したとすれば、それはどのような集団なのか?

といったご意見もいただきました。

非常に重要なご質問であり、これに答えていけるように博論を準備したいと思います。

特に博論で扱う「原子力工学者」は、技術者全般を含めるのではなく、政府系委員会などを務め、社会と接点を持った人物に限定しないといけないように思えてきました。

引き続きの課題にしたいです。

また、「長時間枠、お疲れさま」と声をかけてくださる先生方も多く、一層の励みになりました。

学会後は懇親会(打ち上げ?)に参加し、そちらでも有意義なお話ができました。

歴史研究者が資料にアクセスするためには、やはり行動力や足の力が必要だということを、改めて教えていただきました。

いきなりの発表で長時間枠で申し込んでしまいましたが、挑戦してよかったと思えました。

初対面にも関わらず、お声がけしてくださった先生方、また、応援してくださった学生・院生の皆さまに、非常に感謝しています。

やはり対面はいいですね。

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